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カトリック文庫講座「印刷史から観た 19 世紀キリスト教宣教資料」

「印刷史から観た 19 世紀キリスト教宣教資料」

2025年は、本学の設立母体であるカトリック修道会・神言会の創立からちょうど150年の記念の年になります。また、神言会は当初から出版活動に注力していたことで知られています。これを機に、去る2025年12月6日(土)、標題をテーマとして、第10回カトリック文庫講座を開催しました。講師には、印刷史・文献学を専攻する研究者であり、本学の卒業生でもある、奈良女子大学教授の鈴木広光氏をお迎えしました。

印刷、とりわけ活版印刷の歴史を振り返ってみると、キリスト教の歴史とは切っても切り離せないことがわかります。外国へ派遣された宣教師たちが宣教するためには、現地の人々が理解できる現地の言語で書かれた資料が必要となるためです。鈴木氏からは、まず19世紀以前にも宣教師たちが現地で印刷・出版した多くの事例が紹介されました。その際、印刷機や印刷術も輸出されましたが、宣教師が自ら印刷術を身に付けてから派遣国へ向かう場合がある一方で、印刷術を備えた人材を派遣国へ連れて行く場合もあったそうです。
活版印刷ではなく木版印刷が重宝された中国の特殊事情などにも、参加者は興味深く耳を傾けていました。

本題の19世紀のキリスト教宣教資料については、漢字や仮名がいかにして西洋式の金属活字に載せられることになったのか、本学の所蔵資料を題材にしたり、持参された資料を回覧したりしながら説明されました。いくつかの種類の活字を比較しながら、それらがつくられた目的やそこに至った背景まで、ご自身の研究内容に触れながら事細かく解説され、予定の時間をおよそ30分超過するほどの熱弁となりました。

本学の所蔵の中では、わが国近代活版印刷の祖とされる本木昌造が手掛けた『平戸御水帳』や、禁教が解かれた後のカトリックに復帰した信徒らに向けた資料(たとえば石版刷りの“プティジャン版”と呼ばれるもの)、大変珍しい連綿体と言われる活字の和訳聖書などについて触れられ、印刷史の中に位置づけられました。そうした貴重な資料が間近に存在することにある種の感動を覚えながら、話に引き込まれました。

今回は、カトリック文庫講座を資料の展示エリア付近で開催するという初めての試みでしたが、印刷・出版文化に係る資料自体がテーマなだけに、成功だったと言えそうです。

 

関連展示

11月5日(水)~12月7日(日) 1F展示エリアにて、カトリック文庫講座の連携企画展示「キリスト教と印刷・出版文化点描」を開催しました。

展示資料リストなどこちらからご覧ください。

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